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セリアのアクリルケースの選び方|素材の見分け方・サイズ・お手入れまで解説

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新入社員みうさん
こんにちは、新入社員のみうです。
セリアなど100円ショップのアクリルケースについて、形の選び方・素材の見分け方・サイズの測り方・お手入れのコツまでまるごとご紹介します!

もくじ

大切なコレクションやフィギュアを、埃から守りながら眺めていたい――そんなユーザーの本質的な欲求を満たすセリアのアクリルケースですが、選び方や使い方を間違えると、透明度が失われたり、サイズが合わなかったり、破損してしまったりと、後悔することになります。一度黄ばんだり傷ついたりしたケースは、修復が難しいからこそ、購入時の判断と日々のお手入れが重要なのです。

そこで本記事では、セリアのアクリルケースを長く美しく使い続けるための知識をすべて解説します。形状の選び方から素材の見分け方、失敗しないサイズ選び、積み重ねるときの注意点、正しいお手入れ方法、そしてディスプレイの格上げ術まで、プロの観点から実践的なノウハウをお伝えします。さらに、既製品では対応できない場合のオーダーメイド検討基準も明示しており、どんな状況のユーザーにも最適な選択肢が見つかるようになっています。セリアのケースを賢く選び、正しく扱うことで、透明度と美しさを維持したまま、あなたのコレクションを何年も鑑賞し続けることができます。

セリアの透明ケースが収納・ディスプレイに支持される理由

100円ショップで「アクリルケース」として販売されている透明ケースが、これほどまでに支持されるのはなぜか。その答えは、シンプルですが根本的です。それは「しまいながら見せたい」というユーザーの本質的な欲求を満たすからです。

透明ケースが選ばれる理由

不透明な箱でも物は収納できます。しかし、透明ケースが選ばれるのは、単なる収納ではなく「鑑賞」がセットで叶うからに他なりません。買ったばかりの大切なフィギュアや、二度と手に入らないアクセサリー、集めるのに時間がかかったコレクション。これらを埃から守りながら、いつでも眺めていたい。そこに透明ケースを選ぶ最大の動機があるのです。

透明性の維持という課題

ところが、この「鑑賞性」は、買った瞬間が最高峰であり、その後は一途に低下していくという困った現実があります。透明樹脂は正しく扱わなければ、細かい傷で白く曇ったり、微細なひび割れ(クレージング)が入ったりするからです。つまり、透明ケースを選ぶことは同時に「その美しさを維持するための責任」も引き受けることになります。

セリアの透明ケースの優位性

セリアを含む100円ショップの透明ケースが優れているのは、この難しい要件を手頃な価格で実現しているからです。高い透明度を持ちながら、形状が豊富で、スタッキングも可能。収納という機能だけなら安い箱でいいのですが、「見せたい、守りたい、それでいて手軽に揃えたい」というユーザーの多様なニーズに応えているのです。

既製品と特注品の使い分け

本来なら、透明度の維持や耐衝撃性の強化には、より良い素材や設計が必要になります。アクリル加工メーカーの観点からすれば、既製品の成形ケースでは対応できない、極めて大型の展示物や特殊なサイズ、重い置物の収納には、オーダーメイドで対応することになります。ですが、一般的なコレクションや日用品の整理であれば、セリアなどの既製品は十分以上に役割を果たします。

透明ケースによるシステム化

そして重要なのは、透明ケースのメリットはそこに止まりません。複数の形状を組み合わせることで、収納そのものが「システム化」します。横開き、円柱型、仕切り付き、壁掛けなど、入れるもの別に器を選ぶだけで、誰でも直感的に整理できる環境ができあがるのです。この手軽さと汎用性が、セリアの透明ケースが広く支持される理由の大きな柱となっています。

形状タイプ別・透明ケースの特徴と活用シーンの使い分け

透明ケースを選ぶとき、「何を入れるか」と同じくらい重要なのが「どの形状を選ぶか」ということです。しかし形状選びは、実は「どこから出し入れするのか」「どこから見せるのか」という2つの軸で考えると、迷いなく決められます。

円柱・ドーム型:360度からの鑑賞に向く

円柱やドーム型の最大の特徴は、継ぎ目が少なく、どの角度からでも中身が見えることです。曲面は光を屈折させるため、平面ケースとは違う美しさで中身を際立たせます。また、曲面は構造として安定しやすく、同じ容量なら平らなケースより薄い素材でも自立します。ただし曲面越しに見える像は、光の屈折で若干歪みます。そのため、風景画や装飾図案より、立体的なフィギュアや置物に向いています。

オープントレー・スタンド:出し入れの速さが命

蓋のないトレーやスタンドタイプは、出し入れが最速です。毎日触る文房具、頻繁に出し入れするコスメ、アクセサリーなど、利便性を第一とする場面に向いています。さらに、立てて収納することで安定感が生まれます。リップやペン、細長いアイテムをまっすぐ立てると、どれがどこにあるか一目瞭然で、選ぶ手間が減ります。埃の混入が避けられないのが欠点なので、頻繁に使うものに限定しましょう。

仕切り付き・格子型:小物の傷防止が本来の役割

小物を複数入れるときに見落とされがちですが、仕切りは単なる見た目の工夫ではなく、実は「傷を防ぐための保護装置」です。隙間なく詰まった状態で運んだり、引き出しの開け閉めをしたりするときに、小物同士がぶつかり合い、傷がつくのを防ぐのが仕切りの本質的な役割。アクセサリーの場合、パールやメッキ、石の表面は簡単に傷がつくため、仕切りで分けて擦り合いを防ぐことは価値があります。ここで重要なのは、隙間のサイズです。詰め込みすぎると出し入れの際に側面をこすり、ケース自体が曇ります。逆に緩すぎると、中身が助走をつけてぶつかります。「指は入るが、物は泳がない」が理想的なクリアランスです。

どの形状を選ぶかは、その物の「役割」次第です。毎日使う物か、飾るだけか。どの方向から見たいか。こうした問いに答えるだけで、自然と最適な形状が見えてきます。

素材の違いを知る!アクリル(PMMA)とスチロール樹脂(PS)の見分け方

100円ショップで「クリアケース」という名前で売られているもののほとんどは、実はアクリル(PMMA)ではなく、スチロール樹脂(ポリスチレン/PS)です。この違いを知るだけで、購入後の後悔をずいぶん減らせます。

性能の決定的な違い

アクリルとスチロール樹脂は、どちらも透明な樹脂ですが、性能は大きく異なります。

まず透明度です。アクリルは全光線透過率が92.6%と、透明樹脂の中で最高水準の透明性を誇ります。厚みを増しても濁りにくく、長く使い続けても透明度が落ちません。一方、スチロール樹脂はこれより低く、厚みが増すほど白っぽくなる傾向があります。小ぶりなケースなら気になりませんが、大型になるほど差が際立ちます。

次に長期の変色です。アクリルは紫外線に強く、数年単位の暴露試験でも透過率と黄変がほとんど変わりません。対してスチロール樹脂は紫外線で黄ばみが進みやすく、窓際に常設したり、毎日日光が当たる場所に置いたりすると、使用環境によっては目に見える変色が起こります。大切なコレクションを長く飾りたいなら、この差は無視できません。

そして耐薬品性。スチロール樹脂はアルコール類に弱く、エタノールやイソプロピルアルコールが触れると微細なひび割れ(クレージング)が入ります。一度入ると直りません。アクリルはこうした薬品に対してはるかに耐性があります。

左:アクリル 右:スチロール樹脂

アクリルの重さ

スチロール樹脂の重さ

新入社員みう
同じ厚み・同じ寸法でカットしたアクリル板とスチロール樹脂の透明度と重量を比較しました。
写真を見ると、アクリル板(左)のほうが透明度が高く、奥の様子がよりクリアに見えます。一方、スチロール樹脂板(右)はやや白っぽく見え、透明感はアクリル板に比べて劣る結果となりました。重量は、アクリル板が8.0g、スチロール樹脂板が7.5gで、アクリル板のほうが0.5g重いことがわかりました。
今回の比較では、アクリルは透明性に優れる一方で、スチロール樹脂はわずかに軽量であるという特徴が確認できました。

店頭での見分け方

購入前に素材を見分ける方法は、いくつかあります。

まず重さです。アクリルは比重1.19と、樹脂の中では重い方に分類されます。同じサイズなら、アクリルの方が手にしっくりきます。試しに持ってみて、「意外に重い」と感じたらアクリルの可能性が高いです。

次に小口(断面)を真横から見ることです。アクリルなら透明感があり、濁りが少なく映えます。スチロール樹脂なら、わずかながら白っぽさが見えます。光を当てて見るとより分かりやすいです。

最後に、軽く弾いて音を聞く方法もあります。アクリルは比較的鈍い、深い音がします。スチロール樹脂は軽く乾いた高めの音です。この音の違いも有効な判断材料になります。

「選び方」という名の実践的な判断

結論から言えば、すべての収納をアクリルで揃える必要はありません。「中身よりケースが先にだめになっていいか」という判断で選ぶと、選択肢がシンプルになります。

毎日消耗する文房具やコスメなら、スチロール樹脂で問題ありません。数ヶ月で買い直すつもりなら、コストパフォーマンスは圧倒的にスチロール側です。

しかし二度と手に入らないコレクション、数年単位で大切に飾っておきたい物、窓際の日当たりが良い場所に置く予定なら、アクリルの透明度と耐候性の価値があります。アクリル加工メーカーとしては、こうした長期保存が必要な場合には、素材のみならず板厚も含めたオーダーメイドで対応することで、買い直すことのない「一生もの」のケースを作ることができます。

置き場所、中身の価値、頻繁に使うかどうか。この3点で判断すれば、スチロール樹脂とアクリル、どちらを選ぶべきかは自然と見えてきます。

失敗しないサイズ選び!「外寸」と「有効内寸」の考え方

ケースを購入する際、最も多い失敗が「サイズが合わない」というものです。店頭でラベルに書かれた数字を信じて買ったのに、いざ家に帰ると入らない。こうした悔しい思いを避けるには、「外寸」と「有効内寸」の違いを理解することが不可欠です。

ラベルのサイズは外寸である

透明ケースのラベルに記載されているサイズは、ほぼ確実に「外寸」です。つまり、ケース全体の外側の寸法であり、中に実際に入る空間ではありません。ケースには必ず「板の厚み」があるため、内側はそれだけ小さくなります。

計算は単純です。外寸から「板厚×2」を引く。これが内寸の出発点になります。例えば、外寸が幅20cm、奥行き15cm、高さ10cmで、板厚が2mmなら、内寸は幅19.6cm、奥行き14.6cm、高さ9.6cmになります。

しかし、それでも足りません。蓋がかぶさるタイプのケースなら、内側に落ち込む部分があり、その分だけ有効な高さが減ります。さらに、実際に物を出し入れするためには、指が入る隙間が必要です。寸法上ぎりぎりでは、毎回の出し入れで側面をこするリスクがあります。

一般的な目安として、幅と奥行きに合計1cm前後の余裕を見ておくことをお勧めします。

樹脂ケース特有の落とし穴

市販の透明ケースは金型で成形されることが多く、その成形過程で独特の特性が生まれます。最も注意すべきは「テーパー(抜き勾配)」です。金型から取り出しやすくするため、底に向かってわずかに狭くなっているのです。開口部では入るのに、底では入らない。そんなトラブルの原因になります。安全を考えるなら、最も狭い部分である「底」を基準に測るべきです。

もう一つは「角のR(丸み)」です。内側の角は丸く加工されているため、四角い物を入れるときに、四隅の角が先に当たります。寸法表上は「対角線」で考えやすいですが、実際には直線部の実寸で判断する方が正確です。

「一番出っ張った所」を基準にする

失敗を防ぐ最強の方法は、「ケースに入れる物自体の最大外形を測る」ことです。フィギュアなら、広げた腕やマント、武器、台座の角。ミニカーなら、ミラーやアンテナ。置き物なら、最も出っ張った部分。その物全体が占める一番大きな「箱」を想定し、その寸法がケースに入るかを確認します。

また、一度斜めに入っても、取り出すときに引っかかって塗装が削れたり、小さなパーツが取れたりするリスクがあります。真っすぐ出し入れできる寸法を基準にしましょう。台座が広い物は底面積で、上が重い物は倒れたときの衝撃を考えて、少し余裕を見ておくことも大切です。

オーダーメイドという選択肢

セリアなどの既製品には限界があります。1mm単位でサイズを指定したい、特殊な形状に対応したい、そうした場合はアクリル加工メーカーによるアクリルケースのオーダーメイドが役立ちます。正確な寸法指定が可能なため、棚の内寸ぴったり、飾りたい物にぴったりのケースが実現できるのです。

サイズ選びで大切なのは、数字を読むのではなく、「実物がそのケースで快適に出し入れできるか」という実用性を優先することです。

強度と安定性を保つための積み重ね・耐荷重の注意点

透明ケースの最大の利点は、複数を積み重ねて(スタッキングして)スペースを有効活用できることです。しかし樹脂製品には物理的な限界があり、無理な積み重ねは変形や破損を招きます。長くケースを愛用するには、その限界を理解することが重要です。

危険なサインを見逃さない

ケースがどれほどの負荷に耐えられるかは、カタログの「耐荷重」という数字だけでは判断できません。むしろ、目で見て、手で触って感じるサインの方が、はるかに重要です。

まず天面を真横から光を当てて見てください。反射した直線が曲がっていたら、すでに限界が近い状態です。次に扉を開け閉めしてみましょう。最初はスッと動いていた扉が引っかかり始めたら、本体が歪んでいる合図です。さらに、ケースの角を観察して、継ぎ目に白い筋や曇りが見えたら、そこに応力が集中しており、割れの前触れです。動かしたときにきしむ音がするのも同じく危険信号です。これらのサインが一つでも見えたら、積み方を変えるか、上の段を軽くするか、一度荷物を移して休息させるべき状況です。

積み方の工夫で耐荷重は大きく変わる

同じ重さでも、どこに力が通るかで耐性は劇的に変わります。最も重要なのは「力の通り道を意識する」ことです。樹脂製ケースの天面は中央が最も弱く、側板は縦の力に強い設計になっています。そのため、上段のケースの脚や角を、下段の側板の真上に揃えることで、荷重が側板を通って下へ伝わり、たわみを大きく減らせます。逆に天面の中央に荷重がかかると、その部分が圧力に耐えきれず、ぐにゃりとたわんでしまいます。

重い物ほど下に置く、という鉄則もあります。上に軽く、下に重くという「ピラミッド構造」が、安定性を最大限に引き出します。

クリープ現象という時間との闘い

樹脂の最も厄介な特性が「クリープ現象」です。すぐには壊れない大きさの力でも、それが長時間かかり続けると、樹脂は少しずつ変形していきます。しかも、この変形は荷重が大きいほど、温度が高いほど加速します。窓際の直射日光が当たる場所や、暖房の効いた部屋の高い位置に置いたケースは、同じ重さでも劣化が早まるのです。

対策としては、重い物は下段に集めること、季節の変わり目に一度積み直して天面のたわみをチェックすること、そして一度たわんだ板は完全には元に戻らないため、中身を入れ替えて負荷を抜き、その段を最上段に回すか軽い用途に変えることが有効です。

長く使い続けるための心がけ

積み重ねは便利ですが、ケースとの向き合い方は「消耗品感覚」では不十分です。定期的に様子を観察し、サインを見落とさず、柔軟に配置を変える。こうした丁寧な使い方が、透明ケースの美しさと機能を長く保つ秘訣になります。

プロが教えるお手入れ術!透明度を維持し「クラック」を防ぐ方法

透明ケースの最大の敵は、衝撃ではなく「日常的な扱い」です。買った瞬間の透明度を長く保つには、何をしてはいけないかを知ることが、何をすべきかを知ることよりも重要です。

乾いた布で表面を強めに拭く様子

↑によってついた傷

流水でやさしく洗い流す様子

流水で洗い流した後、柔らかい布で水分を押さえたアクリル

新入社員みう新入社員みう
NGな手入れ方法と正しい手入れ方法をそれぞれ実践し、仕上がりにどのような違いが生じるのか比較・検証しました。
その結果、乾いた布でアクリルを強く拭くと、細かな傷が無数に付き、表面が曇ったような仕上がりになりました。またアクリル表面にアルコールを付着させた直後は変化が見られませんでしたが、翌日にはクラック(ひび割れ)が発生しました。
一方、付着したゴミやホコリは流水でやさしく洗い流し、柔らかい布で水分を押さえるようにふき取ることで、傷や曇りのないきれいな状態を保つことができました。
この実験結果から、アクリルをきれいな状態で長く使用するためには、乾拭きやアルコールの使用は避け、流水でやさしく洗浄した後、柔らかい布で水分を押さえるように拭き取る、または柔らかい布を濡らして硬く絞り、優しく拭き取る方法がおすすめです。
 
 

絶対にしてはいけないこと

最も危険なのがアルコール類での清掃です。エタノール、イソプロピルアルコール、除菌シート――これらはウイルス対策に有効ですが、樹脂製のケースには悪魔です。応力が残った状態でアルコールが触れると、内部で微細なひび割れ(クレージング)が発生し、白い雲のように広がります。一度入ると消せません。フィギュアのコロナ対策として除菌シートでケースを拭きたい気持ちは分かりますが、樹脂ケースには絶対に使用してはいけません。

次に乾拭きも避けるべきです。表面の埃は硬い粒子であり、乾いた布でこすると研磨剤として働きます。全面に細かい傷が入り、透明感が失われて白くなってしまいます。「拭く」という行為そのものが、透明度を奪うリスクなのです。

ガラスクリーナーやシンナー系の溶剤も同様に避けなければなりません。これらは樹脂を浸潤させ、変質させる危険性を持っています。

正しい清掃の手順

清掃の基本は「埃を浮かせて流す」ことです(アクリルケースの掃除の基本手順もあわせてご覧ください)。水か薄めた中性洗剤を使い、まず埃を浮かせます。その後、柔らかい布(毛羽の少ない素材を選ぶこと)で押さえるように、そっと水気を取ります。こすらない。押さえるだけ。この違いが明暗を分けます。

布の選択も重要です。タオル地は毛羽が多く、マイクロファイバーは細かい傷をつけやすい傾向があります。毛羽の少ない綿素材か、セーム革などが理想的です。一度砂を噛んだ布で拭いた後、同じ布を使い回さないことも鉄則です。

静電気対策という隠れた利点

アクリルは静電気で帯電しやすく、埃を引き寄せてしまいます。帯電防止剤が含まれたクリーナーを使うと、埃の付着自体を減らせます。これは単に「きれいを保つ」という表面的なメリットではなく、拭き掃除の回数を減らすことで、摩擦による傷の蓄積を防ぐという深い意味があります。

傷がついてしまったときの現実的な対応

もし細かい傷で曇ってしまった場合、修復は可能か?答えは「素材と傷の深さによる」です。目の細かいコンパウンドで磨くことは理論上可能ですが、100円ショップの薄い成形ケースでは現実的ではありません。磨くとは、傷の深さまで周囲を削ることであり、板が薄いほど削れる余地がないからです。無理に磨くと、局所的に凹んでレンズのように歪み、かえって悪くなります。

爪を立てて引っかかるような深い傷は、素人作業では直りません。浅い曇りなら試す価値がありますが(アクリルケースの傷消しの手順も参考にしてください)、くれぐれも小さな部分で試し、力を入れず、熱を持たないよう短時間で済ませることです。

予防こそが最強の対策

透明度を維持する究極の方法は、傷つけさせないこと。正しい清掃方法を習慣化し、アルコール類を近づけず、丁寧に扱う。これ以上に効果的な対策はありません。

アクリル板の小口がLEDの光で線状に光る導光効果

ディスプレイを格上げ!背景・照明・導光を活かした見せ方

透明ケースは、正しく扱うだけでなく、「見せ方」で価値が大きく変わります。同じ商品を入れていても、工夫次第で100円ショップのケースが美術館の展示ケースに見えることもあれば、高級品でも安っぽく見えることもあるのです。

背景を暗くすることの威力

透明ケースの厄介な特性の一つが、中身だけでなく背後の景色も一緒に見せてしまうことです。棚の奥の壁紙や、その向こうの散らかった部屋が映り込むと、どんなに美しいコレクションも台無しです。

解決方法は驚くほどシンプル。背面に暗い色の紙や布を一枚入れるだけで、劇的に変わります。黒や濃紺の無地シートを背面に敷くと、中身の輪郭が引き締まり、主役が一気に浮き上がります。写真を撮ったときの映りも別物になります。100円ショップで手に入る背景紙やベロア調シートで十分です。わざわざ高級な素材は必要ありません。

光の当て方で立体感が生まれる

照明の位置は、見栄えの半分を決めます。

真上から光を当てると、天面が光って中身が見えなくなります。真正面からだと、前面が鏡になって自分が映り込みます。最適な角度は「斜め上・前方」です。この角度から光を当てると、映り込みが視線から外れ、中身全体に適度な影ができて立体感が生まれます。小ぶりなら常夜灯でも足りますが、本格的にするなら小型のLED照明を斜めに配置すると効果的です。

導光効果により、小口(切り口)が光っている

左半分:分厚いアクリルと右半分:薄いアクリルそれぞれの導光効果の確認
(上から鏡面仕上げ、切りっぱなし、カンナ仕上げ)

左半分:分厚いアクリルと右半分:薄いアクリルそれぞれの導光効果による光りを壁に移した様子
(上から鏡面仕上げ、切りっぱなし、カンナ仕上げ)

新入社員みう新入社員みう
導光効果の実験を行いました。
アクリルは、側面から取り込んだ光を内部で伝え、端まで運ぶ「導光性」という性質があります。今回の実験では、板厚や断面の仕上げを変えて光の伝わり方を比較しました。
その結果、板厚や断面の仕上げが異なっていても、光は端まで届くことが確認できました。一方で、切りっぱなしや傷のある断面では、その傷が光りを散乱させるため、断面が白く曇ったように見えました。また、断面から出た光を壁に向けて観察すると、傷のない断面から出た光に比べ、傷のついた断面から出た光の方が明るさが劣ることが確認できました。
このことから、アクリルの導光性そのものは板厚や断面仕上げの違いによって大きく変化しませんが、美しい発行を実現するには、断面を滑らかに仕上げて傷をつけないことが重要であることがわかりました。

小口の導光効果を活かす

アクリルの最大の秘密兵器が「小口の導光」です。アクリルは光を内部で反射させて端まで運ぶ性質があり、板の端(小口)に光が当たると線状に光ります。この現象を利用すると、ケースの輪郭だけが浮かび上がり、高級感が格段に上がります。

方法は簡単です。ケースの下や縁に小型のLEDを仕込むだけ。ホームセンターで手に入る電池式の薄いLEDテープを、ケースの底や側面に貼り付ければ、プロフェッショナルなディスプレイが実現します。特に暗い部屋での効果は絶大です。

余白というデザイン

最後に、最も重要で、最も見落とされるのが「余白」です。

詰め込むと全部が背景になります。飾る物の大きさにもよりますが、置ける数の8割くらいにとどめるのが目安です。ケースの中身を「全力で埋める」のではなく、主役を決めて、その周りを大きく空ける。この「何も置かない空間」が、主役を際立たせます。余白は贅沢ではなく、デザインの必須要素なのです。

100円ショップのケースでも、これら3つの工夫(暗い背景、斜めからの光、余白の確保)を組み合わせると、見栄えは劇的に変わります。同じケース、同じコレクションでも、見せ方次第で印象は別物になるということです。

既製品で足りない場合に「オーダーメイド」を検討する3つの基準

セリアなどの100均ケースは非常に優秀ですが、限界もあります。既製品では対応できない困りごとが3つあります。

サイズ:規格外の寸法に対応できない

市販ケースは決まった規格寸法のみです。棚の内寸にあと数センチ足りない、飾りたい物がやや大きすぎる、そうした「惜しい」場面が多くあります。オーダーメイドなら1mm単位で寸法を指定できるため、スペースにぴったり合わせたり、コレクションに合わせたりすることが可能です。

重量と強度:重い置物に対応できない

大型の模型や陶製の置物など、重い物は薄い成形ケースでは天面がたわんでしまいます。オーダーメイドなら板厚を用途に合わせて選べるため、重量物でも安心して飾れます。

寿命:長期保存時の透明度維持

数十年単位で飾り続けたい物には、黄変しにくく透明度が落ちない素材を選ぶ価値があります。アクリル加工メーカーであれば、素材と板厚を最適化し、買い直すことのない「一生もの」のケースが実現できます。

相談前に決めておくとスムーズなのは、入れる物の最大寸法、内寸か外寸のどちらを指定するか、設置場所の寸法、出し入れの方法(前開き・上開き・かぶせ)の4点です。

アクリル加工専門スタッフからのアドバイス

中川工場長
株式会社ヒョーシン
中川工場長
既製品は規格寸法なので、「あと数センチ」が合わないことがよくあります。大きな模型や重い置物だと、薄い成形ケースでは天面がたわんで積めないことも。そんなときはアクリル板を1mm単位でオーダーカットして、サイズも板厚も用途に合わせたケースをお作りできます。1枚からご相談いただけますので、入れたい物の一番出っ張った所の寸法だけ測ってお知らせください。