オーダーメイドできるアクリル板の特徴は?製法の違いも解説
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アクリル板は、規格サイズからオーダーメイドまで好きな大きさを注文することができます。また、厚みもいろいろあるため、自身が加工しやすい大きさや厚みのアクリル板を注文しましょう。本記事では、アクリル板の特徴や製法、加工用の工具なども詳しく解説します。アクリル板の加工や製品に興味があるなら、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
アクリルとは
そもそも、アクリルとはプラスチックの一種です。プラスチックの中でも、「ポリメチルメタクリレート樹脂」と呼ばれる合成樹脂です。アクリルの特徴を活かしてさまざまな製品を作ることができるため、多くの分野で重宝されています。
とくに店舗用のディスプレイやショーケースなどで使われているのをよく見かけるのではないでしょうか。もちろん、個人宅のインテリアにも使用できるので、おすすめです。ここでは、アクリルの特徴に関して詳しく解説します。
アクリルの特徴
アクリルには、以下のような特徴があります。
- 高い透明度
- 高い耐性
- 高い耐衝撃性
ガラスよりも高い透明度が、アクリルの特徴です。高い耐衝撃性も備えているため、ガラスのように簡単に割れることもありません。たとえ割れても破片が飛び散ることもなく、危険が低いのも特徴です。そのため、ガラスの代わりとして使用されることも多く、水槽や観賞用のケース、窓ガラスの代用としても使われることがあります。
さまざまなカラーがあるのも特徴で、インテリアにも適しています。幅広く活躍できるのがアクリルの特徴であり、自分に合った使いかたを試してみてください。切ったり貼ったりといった加工だけでなく、文字や絵を印刷することが出来るのも、アクリル板の使いやすい点です。
アクリルの製法は2種類
アクリルの製法には、以下の2種類があります。
- 押出板
- キャスト板
アクリルは、製法によって特徴が変わります。見た目はほとんど変わりありませんが、その値段は倍くらい違うため、注意が必要です。それぞれの製法にどのような特徴があるのかを、詳しく解説します。
押出板
押出板とは、アクリルをローラーで押し出して成型する製法です。そのため、ローラー以上のサイズを作ることができず、最大サイズが決まっているのが特徴といえるでしょう。また、厚みに関しても同様で、最大で20ミリまでのモノしかできません。とはいえ、接着しやすく、加工に向いているのが大きな特徴です。
国内で流通しているアクリル板の多くは押し出し版で、キャスト板よりも価格が安いのもポイントといえるでしょう。「いろいろなものに加工したい」「絵や字を印刷して壁に飾りたい」といったときには、有効に使うことができるでしょう。
キャスト板
キャスト板は、押し出し版とは違ってガラスの枠を作成してアクリル板の原料であるアクリル樹脂を流しこみ、固めるというものです。そのため、押し出し版よりはサイズが大きなものが作れるのと、厚みの調節ができる点が特徴です。とはいえ、どんな厚みのモノでもできるかといえばそのようなことはありません。
また、カラーによってもできる厚みが違ってきます。透明の板であれば、50ミリまでの厚みのモノを作ることが可能です。ただし、白か黒のアクリル板を作りたいのであれば、20ミリまで、そのほかのカラーを作るのであれば15ミリまでとなっています。さまざまな大きさやカラーがあるのが特徴ではあるものの、キャスト板は押し出し板の倍ほどの金額になってしまうのが残念な点です。
アクリル板の加工用道具
アクリル板は、さまざまな加工ができる素材です。そのため、アクリル板を加工するための道具も多く販売されています。アクリル板を加工するための道具をいくつか紹介するので、DIYに興味があるならぜひ、試してみてください。
切る
加工で重要なのは、思い描いたとおりに切りそろえるという点です。アクリル板を切るには、アクリサンデーカッターなどのプラスチック専用カッターを使うといいでしょう。切断するときには、けがをしないように気をつけなければなりません。
カット自体は難しくはありませんが、切ってそのままにしておくとケガのもとです。ただし、カットすると切断面は目が粗くざらざらしてしまうため、紙やすりなどで整える必要があります。しっかりきれいにしておかなければ、触ったときにけがをする可能性もあるため、注意が必要です。
既に大きさが決めてある、といったときにはちょうどいい大きさにカットしてもらって購入するという方法もあります。多少のざらつきは残るものの表面を滑らかにしてくれるためのカンナ仕上げ、専用の研磨剤で磨き上げる鏡面仕上げがあります。
ただし、カット面をきれいに仕上げるためには、カンナ仕上げは辺の長さが60cm以上、鏡面仕上げをするには30cm以上が必要です。
接着
アクリルの加工をする際に重要なのは、接着できるかどうかです。アクリルは接着しやすい加工品ではありますが、木工用ボンドなどではきちんとくっつかない可能性があります。そのため、以下のような製品を活用するといいでしょう。
- アクリサンデー接着剤
- アクリル用超強力両面テープ
どちらも、アクリルをくっつけることができる強力な接着剤には変わりありません。どちらの接着剤も透明なため、目立たないのも共通の特徴といえるでしょう。とはいえ、それぞれ使う場面が違ってくるため、使用前に特徴を良く把握しておくことが重要です。
アクリサンデー接着剤
アクリサンデー接着剤は、二塩化メチレンが主成分の接着剤であり、付属品として注入器が付いています。専用というだけあって、アクリルやポリカーボネート樹脂、ABS樹脂などを接着するときに使うことができ、かなり強力です。
そのため、使用するときは注意しなければなりません。また、揮発性が高いのも特徴で、使い終わったら必ずすぐにきつくふたを閉め、冷暗所で保管しておくようにしましょう。
アクリル用超強力両面テープ
接着をするのに用いるのは、接着剤だけではありません。アクリル用超強力両面テープは、超強力なテープであってもそうすぐにはがれることはないでしょう。強力な接着力で、アクリルと他の素材をくっつけるのに適しています。
透明で目立たないため、作品を作りやすいといえるでしょう。両面テープでありながら耐候性に優れているため、外にずっと置いておきたい作品を作るのにも向いています。ただし、本来の接着力を発揮するまでにはくっつけてから1日程度かかるため、しっかりくっつくまでは大きな力を掛けないようにしましょう。
留め具
アクリルを加工する際には、留め具があると何かと便利に使えるでしょう。アクリルの留め具にもいくつか種類があり、ポリカーボネートを素材として使ったポリカねじやとーめい蝶番などがおすすめです。どちらも透明であるため、金属のねじや蝶番ほど目立ちません。そのため、アクリルの高級感が損なわれることなく、使うことができます。
熱曲げ
アクリルを加工する場合、熱を加えて曲げることが可能です。ヒーターキットは、アクリル板専用に開発されたものであり、アクリルの直線曲げに使われます。安全で使いやすいのが特徴ですが、アクリル以外に使用するときには、用法を守るようにしてください。
そのほかには、ヒートコントローラーがあるとより使いやすくなるでしょう。必ず必要というわけではありませんが、アルトヒーターキットの熱さを調節できるため、加工がしやすくなります。
ヒーターキットを長時間使用することになっている場合は、ヒートコントローラを使用することによって気泡などができず、よりきれいに加工できる点がポイントといえるでしょう。
キズの修復
アクリルは、衝撃耐性が高いものの、表面はかなりキズがつきやすいようになっています。そのため、加工中にキズがついてしまったらキズの修復に使う道具「アクリサンデー研磨剤」を使用しましょう。キズの修復だけでなく研磨剤なので切断面をきれいに滑らかにすることが可能です。
アクリル板の種類
販売されているアクリル板には、さまざまな種類があります。大きさや形もさまざまですが、カラーもさまざまなものがあります。もちろん、加工するアクリル板の厚さによってできないこともあります。バリエーション豊かなのがアクリル板の魅力であり、インテリアなどに最適です。どのような商品があるのかを、詳しくいみていきましょう。
オーダーアクリル板
アクリル注文サイトでは、オーダーアクリル板を注文することができます。サイズやカラーは好きなものを選べるため、何に加工したいかによって注文の細かい部分を決めるといいでしょう。オーダーアクリル板のサイズは、縦が10mm~910mm、横は10mm~1800mmの間で1mm単位で注文することが可能です。
そのため、ちょうどいいサイズを注文することがd系ます。厚みはカラーによって違います。種類は汎用押出板ですが、どうしてもという希望があればキャスト板を注文することもできます。まずは一度、問い合わせてみてください。
カラーは20種類もあるので、飾りたい部屋の雰囲気に合わせて選ぶことができるのがうれしいところです。さまざまなインテリアグッズを作って、部屋を華やかにしてみましょう。
オーダーアクリル厚板
オーダーアクリル厚板は、さまざまな厚さを選べるところが特徴です。13mm、15mm、20mm、25mm、30mm、40mm、50mmの中で好きな厚さをオーダーできるので、さまざまな用途に使用できるのがポイントです。大きさは縦・横ともに30mmが最小サイズとなっていて、最大サイズは縦・横ともに1000mmです。
最小サイズと最大サイズの間で1mm単位で注文することができます。1枚あたりの重量は20kg以下となっていますが、持ち運びには注意しましょう。切断面をカンナ仕上げにしたい場合は、長さを60mm以上にしなければなりません。
フリーカットだけでなく印刷も可能であり、家のインテリアに使用するだけでなく店舗のディスプレイにも使うことができます。高級感あるディスプレイをしたいと考えているなら、おすすめといえるでしょう。
オーダーアクリル円板
オーダーアクリル円板は、円形にオーダーカットできるのが特徴です。直径やカラーだけでなく、厚みや切断面の処理まで好きなものを選ぶことができます。最小サイズは20mm、最大サイズは900mmとなっていて、1mm単位で指定できるのがうれしいポイントです。
細かい指定が可能なため、「規格サイズだとい隙間が空いてしまって困っている」などということもありません。切断面は、レーザーカットと細目仕上げがあります。レーザーカットは切断面が光沢仕上げになるものの、真ん中に筋が1本残ってしまいます。
細目仕上げにすると、レーザーカットで残ってしまう筋を消すことができるのがポイントです。ただし、光沢仕上げにはならず、最小直径は60mm以上にしなければなりません。
アクリルパイプオーダー
DIYをするなら、アクリルパイプオーダーもおすすめです。アクリルパイプはさまざまな使い方ができ、DIYには欠かせないアイテムといえます。アクリルパイプとアクリル丸棒の2種類が選べて、サイズは長さは30mm~1000mmの間で指定ができます。作りたいものに合わせた大きさを注文できるのが、うれしいポイントです。
ただし、パイプ1本から取れる取得本数以下の注文であっても材料費としてパイプ1本分の費用がかかるため、注意しましょう。切断面は処理なしか鏡面仕上げかを選ぶことができますが、処理なしにした場合切断面がざらつくため、ケガをしないように注意しましょう。
規格アクリルパイプ
規格アクリルパイプは、長さが1000mmと決まっていて、外形と厚さが一覧から選ぶことができるようになっています。押出し・キャストのどちらも取り扱いがあるものの、押し出しは安価で曲げ加工がしやすい反面ひびが入りやすいのも特徴です。キャストは押し出しに比べると高額になり、厚みにばらつきがあるものの、硬度が高く機械加工に向いています。
まとめ
アクリル板は、加工しやすくDIYにおすすめです。さまざまなカラーがあるのも、うれしいポイントといえるでしょう。種類によってカットの大きさや厚みなどが好きなように選べるのも使いやすいところで、初めての加工であれば一緒に専用のカッターや接着剤を注文するのがおすすめです。
加工する際には、軍手やフェイスガードなどを使用して、ケガに気をつけながらするといいでしょう。必要であれば文字や絵をアクリル板に印刷することもできるので、まずは何を作りたいのかをはっきりさせて、ピッタリなサイズの素材を注文してみてください。