アクリルとは?似ているほかの素材との違いを解説
「アクリル、という言葉はよく聞くけどガラスとは何が違うの?」と、気になったことはないでしょうか。
実際のところ、一見しただけでは、その違いが判らないという人は多くいます。
使い方も似ていて、どちらを選ぶべきなのか迷うときもあるでしょう。
本記事では、アクリルとガラスやポリカーボネイトなど、似た素材との違いを詳しく解説します。
それぞれの使いどころも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
アクリルとは
アクリルとはプラスチックの一種であり、高い透明度と紫外線に対する耐侯性が良いことが特徴です。
また、加工がしやすいのも特徴であり、穴をあけたり切断したりが簡単にできます。
もちろんそれだけでなく、接着しやすいのもポイントです。
そのため、さまざまな加工品があり、一般家庭から店舗、オフィス、公共施設などでも使用されています。
簡単に割れることがないため、その用途は幅広く、常に需要のある素材といえるでしょう。
開発された当初からガラスのような透明度を持った素材だったため、当時は「有機ガラス」や「風防ガラス」などと呼ばれ、軍事利用が中心でした。
現在では、繊維や接着剤、塗料など目に見えないところでの使用もされています。
アクリルとガラスの違い
アクリルとよく似た素材に、ガラスがあります。
ガラスとアクリルの一番の違いは、素材です。
ガラスは、ケイ酸塩化合物の結晶からできています。
アクリルは、合成樹脂です。
ガラスは表面硬度が高く傷がつきにくいですが、割れやすいという特徴があります。
一方で、アクリルは加工しやすいだけあって柔らかく傷がつきやすいものの、衝撃には強くて割れにくいのが特徴です。
それぞれの特徴をよく理解したうえで、使いどころを考えるようにしましょう。
見分け方
アクリルとガラスには、見た目にほとんど差がありません。
とくにアクリルは、ガラス色にすることもできるので、そうなってしまうと全く見分けがつかないという人がほとんどでしょう。
そのため、「見た目」で用途を限定することはありません。
メリット
アクリルのメリット
アクリルのメリットは、軽くてガラスより衝撃に強いという点です。
ガラスの10倍ほど衝撃に強いため、子どもがいる保育園や小学校などでは、ガラスよりもアクリルの方が重宝されることが多いです。
また、子どもやペットがいる家庭でも、窓ガラスの代わりに使われることがあります。
また、アクリルは割れても破片が飛び散ることがなく、破片でケガをすることはあまりありません。
子どもやペットのいる家庭でガラスの水槽ではなく、アクリルの水槽が使われるのも、万が一割れても安全だからです。
重量が軽いアクリルは、持ち運びもしやすいため、さまざまなところに設置できるのもメリットといえるでしょう。
また、太陽光や雨風にさらされても簡単に劣化しないのがポイントで、看板などにも使用されています。
ガラスのメリット
一方で、ガラスのメリットは硬くて傷がつきにくいという点です。
ケースや窓の表面に傷をつけたくない、といったときには、アクリルよりガラスの方がおすすめです。
ガラスコップには熱湯を入れてはいけない、割れてしまうと思っている人もいますが、実は耐熱性や耐薬品性に優れた素材です。
また、経年劣化しにくく、長く透明で美しいままでいられます。
一般家庭では、窓ガラスや食器などのさまざまな部分で使用されています。
また、普通ガラス以外にも強化ガラスもあります。
強化ガラスは衝撃に強く割れにくいだけでなく、割れた場合に粉々になるため、破片でケガをする危険がありません。
そのため、割れてほしくない、子どもやペットがいて割れると危険といったときには強化ガラスを使用する場合もあります。
デメリット
アクリルのデメリット
一見するとアクリルはどこにでも使える万能の素材のようにも見えますが、当然デメリットもあります。
アクリルとういか、プラスチックのデメリットは、柔らかく、傷がつきやすいという点です。
アクリルは他のプラスチック素材に比べ傷が付きにくいですが、素手で触るものには、あまり向いていません。
熱にもそこまで強くなく、耐熱温度は80度程度となっています。
もちろん、それだけ耐えられれば、基本的には問題はありませんが、ガラスは110度、強化ガラスは200度なので、熱さに耐える必要がある製品には不向きといえるでしょう。
アクリルのデメリットを把握したうえで、用途を考えるのがおすすめです。
ガラスのデメリット
ガラスのデメリットは、重くて割れやすいという点です。
重量があるため、持ち運びをしたい物品には向いていません。
また、割れやすいのが一番のデメリットであり、割れた時に破片がとがってしまって傷がつく可能性が高いです。
細かい破片でも傷がつき、小さすぎるかけらは傷口から入り込む危険があり、注意が必要です。
また、ガラス片は割れた時に広範囲に飛び散る可能性が高く、子どもやペットのいる家では使いづらいでしょう。
割れてしまっては困る、という物品にはガラスではなくアクリルの方がおすすめです。
強化ガラス
ガラスには、普通ガラスのほかに強化ガラスがあります。
重たいため持ち運びがしたい、という物品の作成には向きません。
しかし、普通のガラスより衝撃に強く、通常のガラスと違って割れても粉々になるだけで飛び散ることもないため、安全に使用できます。
予算が合えば、普通ガラスが使用できないときには、強化ガラスを使うのも良いでしょう。
ただし、移動したい、持ち歩きしたいといった物品を作るのであれば、アクリルの方がおすすめです。
アクリルとポリカーボネートの違い
アクリルと似た製品は、ガラスのほかにもポリカーボネートがあります。
アクリルの耐熱性は80度ですが、ポリカーボネートは125度程度まで耐えられるのが違いです。
また、原料も違っていて、アクリルは石油由来の合成樹脂ですが、ポリカーボネートは、アクリルと同じプラスチックの一種であるものの、ポリカーボネート樹脂が原料となっています。
衝撃耐性に優れていて、透明度の高い素材です。
ポリカーボネートは、主に看板や屋根、車のヘッドライトのカバーなどに使用されています。
さまざまな使い道があるポリカーボネイトは、アクリルよりも耐久性が必要な場面で多く採用されています。
また、可燃性にも違いがあります。
ポリカーボネートは火がついても自然に消えるという特性を備えているのに対し、アクリルは火がつけば燃えやすいです。
そのため、火事のときなどは、ポリカーボネートよりもアクリルは危険といえるでしょう。
使い分け
アクリルとポリカーボネートは、加工性に大きく違いがあります。
アクリルは曲げる・伸ばす・切る・接着するなどの加工が容易です。
そのため、インテリアやDIYなどに向いています。
細かい加工をしたいときには、柔軟なアクリルが使いやすいのです。
一方で、ポリカーボネートは加工するのには向いていません。
しかし、ポリカーボネートは衝撃に強く、その強度はアクリルの30倍といわれるほどです。
多くの種類があるプラスチックの中でも最高の強度を誇るため、割れると困る、という部分に使用するといいでしょう。
メリット
アクリルのメリット
アクリルは、加工しやすいのがメリットです。
細かい加工まで可能で、さまざまな形状のコレクションケースや文字の切り抜き、印刷まで可能です。
そのため、部屋を彩るさまざまな物品に利用されています。
また、撥水性があるのもメリットといえるでしょう。
たとえば浴槽やトイレなどの水回りに活用されたり、ペット用のトイレに利用されることもあります。
とくに、ペット用のトイレであれば、きれいに洗うことができるので、衛生的なのもうれしいところです。
軽くて分解もできるため、持ち運びにも便利です。
ペットと旅行などをするときにもおすすめできます。
ポリカーボネートのメリット
ポリカーボネートのメリットは、プラスチックの中でも最高といわれるほどの強度です。
劣化も少なく、雨風にさらされて風化してしまう、ということもほぼないため、カーポートの屋根などに使用されます。
寒さや暑さにも強く、紫外線を受けても性質が変化しないのも特徴で、屋外で耐久度が必要な場合に使用されることの多い素材です。
デメリット
ポリカーボネートのデメリット
ポリカーボネートは強度が高いため安心と思われがちですが、アクリルと同じく表面は傷がつきやすいのがデメリットといえます。
そのため、表面に傷をつけたくない、という場所には使うのは難しいでしょう。
また、ポリカーボネートはアクリルに比べると透明度が劣るため、あまりショーケースやディスプレイには向いていません。
衝撃耐性が強いためテレビの液晶を保護するのに向いているかと思われがちですが、残念ながら透明度が足りません。
ただし、面積が大きく強度を必要とする場面にはピッタリです。
そのほか、そりが出やすいのも、ポリカーボネートのデメリットといえます。
とくにサイズが大きくなればなるほど剃りやすくなってしまうため、端だけでなく中間部分などもしっかり固定するようにしてください。
汚れを放置すると取れなくなってしまうのも、デメリットです。
汚れても特に問題がない、という場合はそのままでもよいですが、インテリアや看板に使用している場合は、汚れを早めにふき取るようにしましょう。
アクリル以外のおすすめ素材
アクリル以外にも、ガラスやポリカーボネートなどの素材があります。
そのほかにもおすすめの素材があります。
どういった素材があるのかを詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
ツインカーボ
ツインカーボは、ポリカーボネートを加工したシートのことです。
「ポリカ中空ボード」とも呼ばれていて、2枚のシートの間に空気層があります。
強靭で断熱性に優れている素材であり、簡単に割れたり壊れたりしないのが特徴です。
環境の変化にも強く、暑かったり寒かったりしてもほとんど素材の変質がありません。
また、軽量なので使いやすい素材です。
カラーも選べるため、屋根やカーポート、フェンスなどさまざまな場面で幅広く使用されています。
アクリルやポリカーボネートが使えない場面で、役立つこともある素材です。
塩ビ板
塩ビ板とは、アクリルと同じでプラスチックの一種です。
正式名称は「ポリ塩化ビニル樹脂 (ポリビニルクロライド樹脂)」であり、身近なところでいうとラップなどにも使用されています。
強度が高く電気絶縁性があり、燃えづらく気候の変化にも耐える有用な素材であり、何よりも安価で調達できるのがポイントです。
加工しやすく使い勝手の良い塩ビ板は、日用品から農業・工業用資材、医療器材などさまざまなものに使用されています。
アクリル板との違い
塩ビ板のアクリル板との違いは、強度です。
アクリル板もかなりの強度を誇りますが、そのさらに上を行くのが塩ビ板です。
ただし、塩ビ板はプラスチック素材の中では比較的重たい方であり、アクリル板の方が軽いのがポイントといえます。
アクリル板は加工しやすい素材ではありますが、そのさらに上をいく加工のしやすさを併せ持っているのが、塩ビ板です。
なぜなら、塩ビ板の方が耐熱温度が低くてその分割れにくいからです。
さまざまな製品に加工しやすい塩ビ板は、日常生活の中にも多く使われています。
フォーレックス
フォーレックスとは、低発泡硬質塩化ビニール樹脂で作られている素材で、加工が簡単にできるのが特徴です。
薄い板であればはさみで切ることができ、そうでなくてもカッターナイフで切ることが可能です。
接着もしやすく、曲げや衝撃には強靭であるため、さまざまな加工品にして活用がされています。
丈夫で水に浮くほどの軽さなのも、メリットといえるでしょう。
何よりも、安価で購入できるのがうれしいところです。
カラーも豊富なので、イベントブースやエクステリアなどに使用できます。
耐候性はそこまではなく、3年程度で多少の色落ちがあります。
そのため、屋外よりは屋内での使用の方が向いています。
まとめ
アクリル板には、似た性質を持つ素材が多くあります。
ガラスはもとより、強化ガラスやポリカーボネートもそうです。
それぞれにメリットとデメリットがあり、どれも同じ場所で使えるかというと、そうでもありません。
この記事では、どのようなメリットデメリットがあるのか、どこに使えばいいのかなどを、詳しく解説してきました。
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